こんにちは。
先日、ANAの飛行機が離陸直後に機器の不具合により緊急着陸したという報道がありました。
けが人もいなかったということで、とりあえずはよかったと思いました。
ただ、当事者である乗客の方は、酸素マスクが下りるということもあって、とても不安な時間を過ごしたんだろうなと思えてなりませんでした。
そんな報道を受けて、とある体験を思い出してしまいました・・・。
目的地の空港は嵐であるとのアナウンス
数年前の出来事です。
出張先から戻るために、行きと同じルートで飛行機に乗ることとになりました。この点は、全く普通の出来事です。
フライト時間は約1時間。
離陸後、CAさんから目的地の空港は嵐であるとのアナウンスがありました。
しかし、私は特に気に留めるようなことはありませんでした。なんといっても、窓から見る景色は天気も良くとても素晴らしかったからです。。。
「へえ。嵐なんだ」
といった程度でした。
ですし、嵐って言っても、台風のような感じではないよねというような先入観も持っていました。少し風が吹いて、結構雨が降っているっていう感じかなと思っていました。
目的地に近づくにつれて雨が強く降ってきて、機体も揺れ始めた
アナウンスの通り、徐々に天気が悪くなってきて、雨が降ってきました。
それにつれて、風も吹き始めたのか、機体も揺れ始めました。
「飛行には影響はありません・・・」
というアナウンスには慣れていますが、あの揺れってなんだかいや~ですね。
出発は夕方でしたので、日が落ちて暗くなっていき、それもあって気持ちが不安な方向へ引っ張られていきました。
いよいよ着陸態勢へ・・・でもそんな状況ではない?!
目的の空港近くに来たときには、結構揺れがすごくて、雨もザーザー降っています。
「まあ、あと少しだ・・・」
飛行機が着陸態勢に入り始めました。徐々に降下していることがなんとなくわかりました。
すると・・・
ほとんどの乗客が飛び跳ねるような揺れに合いました。それも一回ではなく、すごい回数(覚えていませんが、かなりです)です。
「ギャー(キャー)」
客席では、悲鳴がこだましていました。
男の私としては、こういう時こそ冷静さを保たなければと思い、敢えて本を読んでいたように記憶しています。(こんなことはよくあることですよ的な振舞い)。
でも、内心
「こんなことは初めてだ。結構やばいかも」
と本気で思いました。だって、乗客が一斉に「ギャー(キャー)」っていうような着陸態勢は経験したことがないですから・・・。
すると、エンジン回転数が上がったのか、急速に上昇し始めました。
「これは着陸できそうにないなあ」と素直に思いました。
パイロットからのアナウンス
上昇しながら、パイロットからのアナウンスがありました。
内容は・・・
「もう一度着陸にチャレンジします。」
・・・ということでした。
「まあ、プロが判断し、プロがやるんだから今度は大丈夫だろう・・・。」と少しだけ安心しつつも、でも90%は不安な気持ちでした。
そして、また降下し始めました。
すると、1回目よりもすごい揺れが襲ってきました。
私は確実にそうでしたが、乗客のすべてがシートからお尻が離れた時間がかなり長かったと思います。
もちろん、先ほどと同じような悲鳴のオンパレード・・・。
「キャー(ギャー)」
さすがに、私も冷静を装うほどの余裕はありませんでした。
「これは両翼がパッキっと折れるのかな・・・」
・・・と本気で思いました。
すると、先ほどと同じようにエンジン回転数が上がり、上昇し始めました。
違う空港に着陸することに
その後パイロットからのアナウンス。目的地の空港とは違う200kmほど離れたB空港に着陸することとなりました。
B空港近くは雲こそありましたが、雨も降っておらず、ホント普通に着陸することができました。
この差って一体・・・。
CAさんにも飛行機を降りるときに聞いてみました。こんなことってありましたか?と・・・。
「私もこんな(に怖い?!)経験は初めてです・・・」という回答でした。
乗客を目的地まで運ぶというのはパイロットの役目ではあり、その気持ちはよく伝わってきました。
しかし、ちょっとばかり強気なチャレンジだったのかなあと思ってしまった、そんな出来事でありました。(もちろん、CAの方々のプロとしての振舞いも素晴らしかったです。)
以上、「飛行機での移動がハンパなく苦手になってしまったパイロットのあの決断」でした。